輸入検疫で発見されたサンダーソニア乾腐病 (新称)

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  • Bulb rot of Sandersonia aurantiaca caused by Fusarium anguioides and Fusarium sp. intercepted at plant quarantine in Japan

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抄録

2005~7年6~8月、成田国際空港における輸入検疫で、ニュージーランド産サンダーソニア球根に基部が乾腐し、褐~黒変したものを認めた。被害部位よりFusarium属菌が高率に分離され、有傷接種でサンダーソニア球根に原病徴を再現したほか、同・茎葉やチューリップ球根にも病原性を示し、各々から接種菌が再分離された。分離菌は、暗黒・25℃でPDA培地を黄変し、菌叢直径は4.5-5.2cm/10days、菌糸生育適温は20℃である。また、本菌は暗黒・20℃のSNA培地上で、気生分生子は紡錘~棍棒型で隔壁数0-3(-5)、大きさ11.3-40×2.5-5.5μm(1-3隔壁)及び鎌型、隔壁数3-5で脚胞のあるものとないものの両方があり、分生子座性分生子は先端が嘴状で中央はF. avenaceumに比べやや幅広く、緩く湾曲した鎌形で時にanguiform、隔壁数3-5で明瞭な脚胞を持ち、大きさ36.3-63×2.5-5μm(5隔壁)、いずれも主にフィアロ型に生じる。以上からF. anguioides(Gerlach & Nirenberg、1982)と同定した。また、PDA培地を赤変し、暗黒下で分生子座性分生子を形成しない菌株が存在し、これをFusarium sp.とした。いずれもβ-tubulinおよびTEF-1α領域(一部)の解析から広義のFusarium avenaceum species complex(種複合体)に所属することが示された。F. anguioidesおよびFusarium sp.によるサンダーソニアの病害は我が国未報告のため、本病の病名を乾腐病(Bulb rot)と提案する。

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