ビワがんしゅ病細菌の病原性遺伝子psvAにコードされている蛋白質の機能解析

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  • Functional analysis of the protein encoded by the virulence gene psvA of Pseudomonas syringae pv. eriobotryae

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抄録

ビワがんしゅ病細菌(Pse)の病原性遺伝子psvAが分離されたが、その機能は明らかにされていない。本論文ではpsvAをN末端領域(psvAN: 1-1386塩基)とC末端領域(psvAC: 1387-2193塩基)に分け、それぞれの領域にコードされている蛋白質の機能解析を行った。PsvACは低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)プロテアーゼを含むUlp1エンドペプチダーゼファミリーと相同性を示していた。glutathione S-transferase(GST)とPsvACの融合蛋白質(GST-PsvAC)はトマトSUMOを切断したが、GSTのみでは切断されなかった。GST-PsvACの酵素活性はセリンプロテアーゼ阻害剤のphenylmethanesulfonyl fluorideでは阻害されず、システインプロテアーゼ阻害剤のNethylmaleimideで阻害された。更に予想される活性部位のシステインをアラニンに置換するとPsvACの酵素活性が失われた。これらの実験結果はPsvACがSUMOシステインプロテアーゼとして機能することを示していた。また、PsvANはエフェクター蛋白質と部分的に相同生があり、アデニル酸シクラーゼ(Cya)レポーターシステムを用いてPsvAが植物細胞内に分泌されることを明らかにした。PsvAが細菌の外膜に関連していることを以前に報告したが、そのことを確かめるため、psvAN遺伝子とChloramphenicol acetyltransferase(CAT)遺伝子を融合させ、Pseに導入し、CAT抗血清を用いてウエスターンブロッティングで調べた結果、PsvAN-CAT融合蛋白質は外膜と細胞質画分に検出された。なお、CATのみの場合は細胞質画分にのみ検出された。更にN末端側が欠落したPsvAN-CATは外膜には検出されなかった。これらの実験結果はPsvANが外膜局在性の役割を果たしていることを示唆していた。

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