さぬきうどん用小麦新品種「さぬきの夢2009」の育成

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  • サヌキ ウドン ヨウ コムギ シン ヒンシュ サヌキ ノ ユメ 2009 ノ イクセイ

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抄録

1.小麦新品種「さぬきの夢2009」は,1997年に香川県農業試験場においてさぬきうどんに適した品種育成を目標として,収量性や食味評価が優れる「香育1号」を母親に,短稈で耐倒伏性に優れ、製粉歩留が良く粉の色が明るく良好な「関東120号」を父親として人工交配し,集団育種と派生系統育種を組み合わせた育種法により育成した。2.奨励品種決定調査に供試した結果,栽培適正およびさぬきうどん用としての加工適性が優れていたことから,2009年11月10日に香川県の奨励品種として採用するとともに,同年11月26日に種苗法に基づく品種登録の出願を行った。3.「平成9年度種苗特性分類調査報告書 小麦」による特性の分類では,「さぬきの夢2009」の特性は次のとおりである。稈長は“やや短”,穂長は“長”,千粒重は“やや小”,容積重は“中”,播性程度は“II”,出穂期は“やや早”,成熟期は“やや早”,耐倒伏性は“強”,穂発芽性は“やや難”,収量性は“多”,製粉歩留は“やや高”,ミリングスコアは“やや高”,粉の明度は“やや高”,最高粘土は“大”,ブレークダウンは“大”である。4.「さぬきの夢2009」の出穂期は「さぬきの夢2000」より3日早く,成熟期は同等か1日早い早生品種である。強稈で耐倒伏性に優れ,穂長が長いため収量性は高く,「チクゴイズミ」と同等の多収品種である。製粉歩留およびミリングスコアは「さぬきの夢2000」より高く,製粉性はやや優れる。糊化特性は「さぬきの夢2000」とほぼ同等で,やや低アミロース品種である。さぬきうどん製法により作成したうどんの食味官能検査の結果,色は白く冴えており,適度な硬さと粘弾性があり,食味評価は「さぬきの夢2000」より全体的に良好であった。

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