近代における海岸林の風景生成過程

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  • キンダイ ニ オケル カイガンリン ノ フウケイ セイセイ カテイ

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抄録

本研究は,実体としての海岸林が愛着などを喚起する「集団表象としての風景」へと生成していく風景生成モデルを対象の身近さと価値づけから設定し,それに基づいて風景が生成する過程を論じ,海岸林に対する地域住民の行動と風景生成過程との関係を考察した。秋田県能代および本荘と山形県庄内の川北および川南を対象に文献調査および現地調査した結果,地域ごとに風景生成モデルは異なり,それによって異なる集団表象としての風景が生成された。こうした地域ごとの風景生成モデルの差異は,大きく地域社会が沿岸部という立地条件およびそれに伴う従来の行動様式を踏まえて発展してきたかどうか,地域の実情を踏まえた海岸林管理がなされているかどうか,日常生活において海岸を構成するクロマツが見えるかどうかといった差異に拠っており,今後の海岸林を管理するに当たっては,地域の特性を踏まえ,地域管理の一環として捉えていくことが求められるところである。海岸林は身近なだけでは集団表象としての風景になるとはいいがたく,地域において価値が認識される必要があり,そのためにはあくまでも利用するために保全する,という考えが必要である。

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