小笠原諸島海域におけるメカジキの生態と漁業
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説明
1. 2003~2008年の小笠原諸島海域におけるメカジキ漁獲量は,2003,2004年は,各々142tおよび157 tであったが,2005~2008年の4年間は316~327 tで推移し,毎年300tを超えた。2. 小笠原で、メカジキ漁に使われているたて縄漁具は,1990年代前半に沖縄から導入したソデイカ旗流漁具が原型であり,本漁具は,2000年頃に深海でメカジキを漁獲するためのたて縄漁具へと発展した。3. メカジキたて縄漁業に使用する漁船は3~10t程度,1~2人乗り組であり,午前2~5時頃に漁港を出発して夕刻には帰港する日帰り操業である。漁港から漁場までの距離は18~54kmほど,所要時間は1~3時間程度であった。4. 2005年l月14日から2009年7月30日までの間に,小笠原島漁協所属漁船高潮丸と東京都小笠原水産センタ一所属漁業調査指導船興洋が漁獲したメカジキ471個体の眼叉長は72~230cm,平均144.7cm,体重は5.3~196.0kg,平均57.4kgであった。また,1漁獲日当たりのメカジキ漁獲数は1~6個体,平均1.66個体,同漁獲重量は5.3~429.5kg,平均91.5kgであった。5. メカジキの主漁場は,10月から翌年5月までにかけては,聟島列島および父島列島の東側海域に,6月には父島列島の東側と西側の両海域に,その後7月から9月までは父島列島の西側海域に形成された。東側漁場位置における水深は1,000~1,500m程度,西側漁場位置における水深は1,000~2,500m程度であった。6. メカジキの漁獲時間帯は4:30から16:50までの間で,特に漁獲の多い時間帯は認められなかった。7. メカジキが漁獲された枝縄の取付け水深は400~700mの範囲にあり,水深500~649mの間で93.5%の個体が漁獲された。また,漁獲されたメカジキの平均体重は,水深400m台で61.2kg,500m台で60.6kg,600m台では54.6kgであった。8. メカジキの性比は0.356で,月別の雌魚の出現率は56.3~100%の範囲にあり,年間を通じて雄魚の出現率を上回った。9. KG 値の高い個体が出現したのは,雌が5~6月,雄が3月であり,小笠原海域におけるメカジキの産卵期は3~6月頃と推測された。これはハワイ周辺における産卵期と一致した。10. 胃内容物の湿重量出現率は,頭足(イカ)類72.8%,硬骨魚類26.9%,甲殻類0.2%で,アカイカ,カギイカ,ハダカイワシ類,ミズウオなどが比較的多かった。11. 筋肉中の脂質量は,体重の増加に伴って増加する傾向が認められたが,個体差が大きかった。
収録刊行物
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- 東京都水産海洋研究報告
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東京都水産海洋研究報告 (4), 1-28, 2011-03
東京都島しょ農林水産総合センター
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050564288688374528
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- NII論文ID
- 220000132395
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- NII書誌ID
- AA12209120
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- ISSN
- 18815693
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
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