事業内ホームヘルプ制度の成立と実態に関する検討 : 石川島重工業,積水化学,三和銀行の事例を中心に

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  • ジギョウ ナイ ホームヘルプ セイド ノ セイリツ ト ジッタイ ニ カンスル ケントウ イシカワジマ ジュウコウギョウ セキスイ カガク サンワ ギンコウ ノ ジレイ オ チュウシン ニ

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抄録

事業内ホームヘルプ制度の成立と実態を,石川島重工業,積水化学,三和銀行の3社に焦点化し,それらの比較から,各々の特色や意義を考察した。労働省の委託事業としてモデルケースと捉えられた石川島重工業の事例に対し,積水化学や三和銀行では企業内における福利厚生事業の一環として始動していたところに大きな違いが見られた。反面,大企業特有の単一方式という形式のなかに共同方式という「助け合いの原理」を活かすシステムを導入することで,中小企業におけるホームヘルプ制度化を可能とする動きが把握できた。さらに,家庭と職場を分断して捉えるのではなく,両者をつなぐものとして「事業内ホームヘルプ制度」導入が考案されたことは,公私分離という当時の社会風潮からして,かなり大胆な発想であったと考えられる。昭和30年代に展開された事業内ホームヘルプ制度は,人生70年時代という高齢化の進展に伴う定年制延長という事象を見据え,従業員の生活基盤をホームヘルプ導入により整備しようとしたところに歴史的意義が認められる。

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