中国における高付加価値型農業の現状と展望 : 天津市西青区辛口鎮小沙巣村の沙巣大根を事例として

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タイトル別名
  • A Study about the Current Situation and the Future Development of the High-Value-Added Agriculture in China : A Case Study of Shawo Radish at Xiaoshawo Village, Xinkou Town, Xiqing District, Tianjin City, China
  • チュウゴク ニ オケル コウフカ カチガタ ノウギョウ ノ ゲンジョウ ト テンボウ : テンシンシ ニシセイク カラクチチンショウサソウムラ ノ サソウ ダイコン オ ジレイ ト シテ

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抄録

中国では,農産物の高付加価値化に積極的に取り組んでおり,農産物の付加価値を高めることで,農村の活性化を試みる地域が多々見られる。天津市西青区辛口鎮小沙巣村では,高付加価値な農産物として沙巣大根が挙げられる。中国における高付加価値型農業について,この沙巣大根の事例に即して検討すると,次の点を指摘することが出来る。第一に,沙巣大根の栽培技術そのものは,個別農家でも合作社でもそれほど大きな違いはない。第二に,沙巣大根は,個別農家又は合作社のいずれの場合でも,高価格で売ることが出来ている。第三に,個別農家の意識が低い場合には,沙巣大根の高付加価値化は実現していない。合作社に入っていれば,このような事態は起きないから,その意味では合作社は,高付加価値化を確実に達成することができる手段としての役割を果たしているということが言える。第四に,沙巣大根の品質そのものが高付加価値化を実現しているというよりも,沙巣大根の特徴や歴史的背景,また高級感を演出するためのイメージ作りということが,高付加価値化に大きな役割を果たしている。第五に,沙巣大根に対する消費者の認識は,天津市内と天津市外で相当に異なり,天津市内よりは天津市外の消費者の評価が高い。従って,沙巣大根を高付加価値型の農産物として評価してくれる購買層を見定めた上での販売が重要である。

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