四国のヒノキ強度間伐林分における残存木の葉の水分特性

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タイトル別名
  • Leaf water relations of residual trees in heavily thinned hinoki cypress stands in Shikoku, Japan
  • シコク ノ ヒノキ キョウド カンバツリン ブン ニ オケル ザンソン コノハ ノ スイブン トクセイ

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抄録

強度間伐が残存木の葉の水分特性と立ち枯れの発生に及ぼす影響を評価するため、高知県内の低標高域(標高210mおよび320m)のヒノキ人工林2か所を対象に、P-V曲線による水分特性値の比較を行った。調査は、強度間伐後も残存木の状態が健全な北西斜面の林分(辛川)と強度間伐後に残存木の立ち枯れが発生した南斜面の林分(高知西、枯死率約23%)で実施した。明け方と日中の水ポテンシャルおよびP-V曲線による水分特性値を平均値で比較した場合には、サイト間および処理区間(辛川では間伐の有無、高知西では斜面上部と下部)で有意差はみられなかった。一方、個体レベルで飽水時の浸透ポテンシャル(ψs sat)と圧ポテンシャルを失う時の水ポテンシャル(ψw tlp)の関係をみると、サイト間で切片が有意に異なる回帰直線が得られた。同じψs satでもψw tlpの値が高知西で低かったことから、現在生存している高知西の個体は辛川と比べて耐乾性が高くなっている可能性も考えられた。本研究では、基本的にサイト間および処理区間において残存木の葉の水分特性に明瞭な差は生じていないと考えられるが、高知西のように低標高の南斜面などの立地条件では、残存木に水ストレスを生じやすい傾向も見られ、これが個体の枯死を引き起こす可能性もあるため、このような林分では強度間伐を避ける方が望ましいであろう。

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