たくましい乳牛に仕上げる育成の科学

書誌事項

タイトル別名
  • タクマシイ ニュウギュウ ニ シアゲル イクセイ ノ カガク

この論文をさがす

抄録

乳牛の誕生から反芻動物として成熟するまでの育成技術の重要項目について解説した。誕生時の生存に影響する耐寒性の指標として,初生子牛の休息時代謝および頂上代謝から下臨界温および寒冷生存限界を推定し,正常な初生子牛は耐寒性に優れることを示した。初乳のIgGの吸収率と血中濃度より,初乳の給与は生後1時間以内が望ましいが,遅れる場合にはIgGの摂取量を高める必要性がある。また,初乳より調製したカスピ海ヨーグルトの利用法を例示した。子牛の誕生から離乳までの第一胃微生物叢とVFA濃度の変遷および反芻行動の発達を示し,人工乳と乾草の役割を推定した。春期発動前の高増体は乳腺実質の発達を阻害することがあるが,体重と体格との均衡ある成長の重要性を指摘した。育成牛は成長して反芻動物となる。反芻行動の活発化は第一胃内容物の粒度減少をもたらす。これが第一胃発酵と不消化物の通過を促進して第一胃の負荷を軽減し,次の採食余地を生む。また,反芻は唾液の緩衝作用により第一胃内pHを弱酸性に維持し,第一胃発酵を正常に保つことに貢献する。濃厚飼料多給とTMRの選択採食は反芻行動を不活発化するが,これによる乳脂率低下と対処法を例示した。採食時および反芻時の咀嚼行動の重要性に鑑み,首輪に装着するセンサによる咀嚼行動の監視法の開発例について解説する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ