佐賀県酪農論序説 : 上場台地(東松浦半島)酪農家悉皆調査結果メモ

書誌事項

タイトル別名
  • Introduction to the Study on Dairy Farming in Saga Prefecture : : A Case Study on all Dairy Farmers in Uwaba-Daichi
  • サガケン ラクノウロン ジョセツ : ジョウジョウ ダイチ(ヒガシマツウラ ハントウ)ラクノウカ シッカイ チョウサ ケッカ メモ

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説明

戦後、佐賀県内の酪農は佐賀平坦における水田酪農という形態で発展し、その後長い間、生産・消費とも伸びてきていたが、21世紀に入るや生乳需要も伸び悩む中での乳価の停滞や畜産環境問題の発生等といった環境変化のもとで、かつて県内酪農の中心的地域であった佐賀平坦の水田酪農は購入飼料依存へシフトしつつ経営体数を激減させてきた。他方、国営事業による畑地造成や畜産環境問題発生が比較的少ない等を背景・要因にして、上場・唐津地域の酪農家数の減少は佐賀平坦ほど激しくはなかった。その結果、21世紀に入り、佐賀県内における酪農の中心的地域は、かつての佐賀平坦から徐々に上場・唐津地域にシフトしてきた。そこで本稿では、上場・唐津地域の酪農家の悉皆調査から、小規模経営は収益性や後継者問題を理由に多くが離農し、中規模経営は収益性と後継者問題において頭数の縮小と拡大の狭間で悩み、大規模経営は後継者や雇用者等の担い手を確保しえた場合には技術革新とさらなる頭数拡大を目指すというように、明確な階層分化が見られたことを解明した。しかし同時に、2011年以降TPP問題が進行するなかで、中・大規模経営も将来方向を見出しかねている。政策に大きく左右されるなか、経営的には多角化・6次産業化が模索されているが、併せて改めて、地域に求められ、地域に貢献し、地域と共生する持続的展開方向の模索も重要と思われる。

収録刊行物

  • Coastal bioenvironment

    Coastal bioenvironment 18 1-12, 2011-12

    唐津 : 佐賀大学海浜台地生物環境研究センター

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