環境こだわり農業が水田の生物相に及ぼす効果を評価するための指標生物選抜の試み

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タイトル別名
  • Selecting Indicator Organisms for Evaluating the Effects of Environmentally Conscious Farming on Paddy Field Biota
  • カンキョウ コダワリ ノウギョウ ガ スイデン ノ セイブツソウ ニ オヨボス コウカ オ ヒョウカ スル タメ ノ シヒョウ セイブツ センバツ ノ ココロミ

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抄録

環境こだわり農業への取組が,水田やその周辺に棲息する生物の保全や多様性の向上に及ぼす効果を評価するため,指標生物の選抜を試みた。滋賀県内3地域において,耕地面積に対する環境こだわり農業への取組面積の割合が高い集落(環境保全区)と,その近隣の環境こだわり農業への取組面積の割合が比較的低い集落(慣行区)を選び,2008年と2009年の2か年,水稲栽培ほ場の天敵類および害虫相の比較を行った。環境保全区の調査ほ場では,原則として育苗箱施薬を行わず,畦畔雑草管理に除草剤を使用しないこととした。スウィーピング,払い落とし,見取りなどの調査手法により,環境保全区で個体数が多くなる傾向が認められた天敵類を,指標生物の候補として選抜した。その結果,ホソヒメヒラタアブ,アジアイトトンボ,シオカラトンボ類,オオアシコモリグモ属,トガリアシナガグモ,ヨツボシヒメアシナガグモ,セスジアカムネグモ,ニセアカムネグモ,ナガコガネグモ,メイチュウサムライコマユバチ,ムナカタコマユバチの11種(群)が指標生物の候補となると考えられた。また,センチピードグラスを畦畔に栽植している地域では,従来の畦畔管理をしている地域と比較して,寄生蜂類の多様性は低く,クモ類の多様性は高かった。また,クモ類の個体数は畦畔では多いが,本田内には少なかった。これらの現象は,センチピードグラス栽植畦畔がほぼ単一の草種で占められ,畦畔被度が常に高いことと,寄生蜂類とクモ類の食性の幅が異なることに起因すると考えられた。

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