牛・豚のコクシジウム病と実務的な糞便検査法

書誌事項

タイトル別名
  • Coccidioses in cattle and pigs, and practical faecal examination techniques
  • ウシ ・ ブタ ノ コクシジウムビョウ ト ジツムテキ ナ フンベン ケンサホウ

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抄録

牛のコクシジウムEimeria spp. および豚のコクシジウムIsospora suisの感染による家畜のコクシジウム病は,近年,発生件数が多く,重要視されている原虫病である。これらのコクシジウム病対策には抗コクシジウム剤が頻用されており,投薬の効果を判定するためには,糞便検査を行い定量値であるOPG(糞便1gあたりオーシスト数)を調べることが重要である。他方,牛コクシジウム病の検査ではEimeria種の鑑別を行う必要があり,また,豚のIsospora病の検査では脂肪分の多い哺乳豚糞便を扱うため,一般的な顕微鏡観察ではオーシストの検出が難しい場合が多い。これらのことは,臨床実務におけるOPG測定の障壁となっている。牛糞便は,5%ホルマリン糞液として冷蔵保存すると,1年以内はOPG測定とEimeria種の鑑別を含むオーシスト検査が可能である。検体が長期保存できることは,再検査ができ,種の鑑別を含む事後の検証ができることを意味する。脂肪分の多い哺乳豚糞便は,25%パーコールで脱脂処理すると,特別な機器を要せず,OPG測定が容易にできる。OPGの推移を調べて記録に残せば,術者や検査場所が異なってもデータの比較が可能であることから,コクシジウム病の予防治療および発症要因の解明等の貴重な資料になるものと考える。

収録刊行物

  • 動物の原虫病

    動物の原虫病 26 (1), 12-16, 2011-12

    相模原 : 日本動物原虫病学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (10)*注記

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