水稲新品種「天のつぶ」の育成

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タイトル別名
  • Breeding a New Rice Cultivar 'Tennotubu'
  • スイトウ シン ヒンシュ 「 テン ノ ツブ 」 ノ イクセイ

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抄録

(1)「天のつぶ」は、2010年に品種登録出願され、福島県で粳米品種として奨励品種に採用された。(2)「天のつぶ」は、1995年に福島県農業総合センター(旧農業試験場)で「奥羽357号」を母に、「越南159号」を父として交配し、初期のF1~F3世代は温室で集団養成し、F4世代では個体選抜を行い、F5世代以降は系統育種法により選抜、固定を図った。(3)「天のつぶ」の特性は、以下のとおりである。A 出穂期、成熟期ともに「ひとめぼれ」より3日程度遅く、「コシヒカリ」より5~7日程度早い。福島県の熟期区分では'中生の晩'に属する。B 短稈で'中間型'の草型で,耐倒伏性は'強'で「ひとめぼれ」「コシヒカリ」よりも強い。C いもち病真性抵抗性遺伝子型は,'Pia,Pii'と推定された。ほ場抵抗性は、葉いもちが'やや弱'で、穂いもちが「ひとめぼれ」「コシヒカリ」よりも優る'強'である。D 障害型耐冷性は'やや強'で「ひとめぼれ」「コシヒカリ」よりも劣る。E 収量は「コシヒカリ」よりも優り、「ひとめぼれ」並である。玄米は厚さがやや厚く玄米千粒重は「ひとめぼれ」「コシヒカリ」よりやや大きい。品質は青未熟粒がやや見られるものの刈り遅れ等による白未熟粒の発生が少なく良好である。F やや硬めでしっかりとした食感であるが、粘りもあり「ひとめぼれ」並の良食味である。(4)栽培普及地帯は県内の平坦部である。(5)栽培上の留意点として、多肥栽培を避けることと、葉いもちの多発と低温が予想される場合は、予防防除と深水管理に努める。

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