企業の森づくりの現状と課題 : 企業と地域を結ぶ中間セクターの機能

書誌事項

タイトル別名
  • Current Conditions and Challenges in a Corporate Forest Planning : A Connection between Companies and Local Communities
  • 企業の森づくりの現状と課題─企業と地域を結ぶ中間セクターの機能─
  • キギョウ ノ モリズクリ ノ ゲンジョウ ト カダイ : キギョウ ト チイキ オ ムスブ チュウカン セクター ノ キノウ

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抄録

近年,社会を構成する企業において,自らの社会的責任という新たな展開を進める中で,環境に対する多様な責任を負う,社会貢献の一環とする環境貢献が「企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility 以下,CSR)」として進められるようになっている。このような中,わが国において進められているCSRは,多様な企業によってその活動内容が様々である。また,活動の内容をみると地球環境問題への対応やカーボン・オフセットなどの視点から,企業が森づくりを行っている場合が少なくない。しかしながら,企業による森づくりの実態は,対象林・パートナー・活動形態,受け入れ態勢などにおいて,極めて多種多様となっている。そこで,本論では,企業の森づくりを受け入れている一つの地域を事例として,その実態を明らかにした。具体的には,企業の森づくりのコーディネーター機能を有する「やまなし森づくりコミッション」を事例に,仲介者としての役割や機能について明らかにした。また,受け入れ側の地域の一つとして山梨県小菅村を取り上げ,小菅村役場,北都留森林組合,関連企業,多摩川源流大学等に聞き取り調査を実施し,受け入れ地域のメリットと課題を明らかにした。その結果,「やまなし森づくりコミッション」は,企業が森づくりを始める段階の窓口としての機能を果たしているが,資金不足・人材不足等の問題から,協定締結後の両者のサポートは不十分であることが明らかになった。また,このコミッションは複数の団体から組織されているが,相互の連携がとれておらず,多様性の利点を生かしきれていないことを明らかにした。次に,小菅村としては,一つは,森林管理費用を捻出できること,二つには,企業を受け入れることで多様な場面で活動内容が取り上げられるなど,小菅村のPRに繋がっていることなどが成果としてあげられた。しかしながら,契約期間が10年以内と短いために長期的な森林整備計画が立てにくいという点が明らかになった。

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