宮城県北部岩礁域における藻場とキタムラサキウニの分布態様

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タイトル別名
  • Ecological scheme of seaweed distribution and density of sea urchin (Strongylocentrotus nudus) on subtidal rocky shore in northern Miyagi coast
  • ミヤギケン ホクブ ガンショウイキ ニ オケル モバ ト キタムラサキウニ ノ ブンプ タイヨウ

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抄録

1 箱めがね利用し,海藻の繁茂状況やウニの生息状況を比較的簡単に,しかも短期間に広範囲の調査が行える実用的方法を考案し,宮城県北部の岩礁域と砂礫域の海藻とウニの分布状況を調査した。2 調査は,一年生大型褐藻のワカメ,ホンダワラ類および一年生として生育するコンブ類が最も成長し,多年生大型褐藻のアラメの当年個体が30~50cmに達する2005年7月1日から8月11日の間に実施した。調査範囲は気仙沼市唐桑大沢地先から南三陸町志津川地区までの延べ583地点で主に水深6mまで調査を行なった。3 アラメは唐桑地区と歌津地区を除く地区の水深2mまでの海域では比較的被度が高い一方で,水深の深い方では気仙沼・本吉地区が高い被度を維持していた。4 コンブ類は概して県北部海域でもさらに北側の唐桑地区や大島地区の比較的静穏な浅所や岩礁海岸の小さな入り江で優占的に繁茂していた。5 ワカメについては水深が浅いほど,波当たりが強いほど,北方側の地区ほど,ウニ密度が小さいほど被度が高くなる傾向がみられた。6 水深0-2m帯では海藻被度に地域差はほとんど無いが,水深2-4m帯と水深4-6m帯では気仙沼・本吉地区で平均被度を大きく上回っているのに対して,他の地区では比較的低めであった。7 スガモが繁茂する場所では,ウニは岩盤や転石の隙間に隠れる傾向があったことから,密生するコンブ等と同様に「ゆらぎ効果」によってウニの侵入を抑制する効果を示したものと考えられた。8 水深0-2m帯では,ウニ密度と海藻被度との相関係数はきわめて低く,表層の海水流動や波動が大きい浅所では波浪等の強弱による影響が大きいためであると考えられた。また,下方の水深帯ほど相関係数が高くなることから,ウニ密度が高いほど海藻群落再生の抑止に関わっていることが推察された。9 ウニ密度が1.5個体/m2を下回ると,海藻被度が60%程度と高くなり,ウニの漁獲や移植によるウニ密度の適正な管理が藻場の維持には重要と考えられた。

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