ペカン果実の成長に伴う組織構造の変化

書誌事項

タイトル別名
  • Anatomical and Histological Changes in Developing Pecan (Carya illinoinensis) Fruit
  • ペカン カジツ ノ セイチョウ ニ トモナウ ソシキ コウゾウ ノ ヘンカ

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抄録

本研究は、ペカン果実の成長過程を理解するために,開花期から収穫期までの期間,毎週,果実を採取し,成長に対応した各組織の形態的変化を検討したものである。特に,胚珠と胚乳および可食部になる子葉の変化を調査するとともに,維管束走向との関連を検討した。果実成長期間は,開花期の5月下旬から11月上旬の収穫期まで約25週を要した。開花期の雌ずいでは子房の基部側から伸長した胎座が子室中央部まで拡大し,その先端に胚珠が着生した。従って胚珠、続いて種子への養分供給経路は胎座の維管束であることを確認した。ペカンの花柱は中実型であり,多数の細胞で構成された花柱誘導組織が花柱基部まで発達した。胚珠は頂生型であり,胚珠の上部は受粉前後から受精に至る過程で針状に長く伸び,子室上部で花柱誘導組織の末端に接続した。雌ずい中央部の横断面をみると,子房壁の両側から1枚および2枚の隔壁がそれぞれ子室中央部へと拡大し,胚乳の成長する鋳型を形成した。隔壁には維管束が分布し,胎座に連結していた。開花期の鋳型には子房壁から拡大した充填組織が充満し,受精後,充填組織を隔壁側に圧迫する形で胚乳が鋳型全体に拡大した。9月上旬になると子室上部の胚乳内に子葉が成長し,その後,鋳型内に拡大していった。子葉の成長に伴って胚乳は次第に消失した。

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