褐毛和種子ウシに認められた脊髄正中離開症における脊髄および脊柱の形態異常

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  • Abnormal Formation of the Spinal Cord and the Spine due to Diastematomyelia in a Japanese Brown Calf
  • カツモウ ワシュ コウシ ニ ミトメラレタ セキズイ セイチュウリカイショウ ニ オケル セキズイ オヨビ セキチュウ ノ ケイタイ イジョウ

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抄録

脊髄正中離開症が認められた褐毛和種子ウシを解剖学的に検討し,発生学的観点からその形態形成過程の追究を試みた。脊髄は,第二腰髄の背面正中部において軟膜が腹方に侵入することで溝が形成され始め,その溝は後方に向かって徐々に深くなり,第四腰髄では完全に分離されていた。分離部位の横断面においては,ほほ左右対称の半脊髄が形成されていた。組織学的に観察すると,各々の半脊髄は背正中溝および背正中中隔が不明瞭な部位があり,また半脊髄における内側の灰白質は外側の灰白質に比べて低形成であった。その他に脊髄の形成異常を示唆する変化は認められなかった。半脊髄は第四~七腰椎部分にのみみられ,その部分の椎骨は横幅が大きくなった椎体と開裂した棘突起間を埋める骨蓋との間に形成された骨性中隔により椎孔が正中部で二分されていた。罹患部位では,椎体と椎弓の癒合および変形が合併していた。脊椎に生じるそれらの病変は胎生初期における脊索の正中部での統合障害を示唆しており,結果的に神経管が二分して脊髄正中離開症にいたったものと推測される。なお,血清中のアカバネウイルス等の子ウシの先天異常の原因となるアルボウイルスに対する中和抗体価は陰性であったことから病変あるいは異常の原因ではないことは明らかであるが,その要因は不明である。

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