山田湾・船越湾の養殖アマノリの種類とコスヂノリの一新品種について

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  • ヤマダワン センエツワン ノ ヨウショク アマノリ ノ シュルイ ト コスジノリ ノ イッシンヒンシュ ニ ツイテ

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抄録

1.岩手県の山田湾・船越湾で養殖されているアマノリの種類を1959年11月から翌'60年4月まで調査して次の結果を得た。1)山田湾・船越湾で養殖されているアマノリにはスサビノリ,コスヂノリの一品種とマルバアサクサノリがある。2)スサビノリは両湾共に全湾に分布し、優占種或は混生種となっている。コスヂノリの一品種は川口等の湾奥を除いて分布し、優占種或は混生種となっている。特に湾口等外洋に近い所に多い。これに対し、マルバアサクサノリは、殆ど全湾に分布するが、川口等の湾奥で多く、ここで優占種或は混生種となり、その他の所ではその着生は極めて少い。3)スサビノリとコスヂノリの一品種が共存する所では建込日によって、その優占種が変わるのではないかと思われる。4)スサビノリの有性・無性生殖器官の季節的変化及びマルバアサクサノリの有性・無性生殖器官の季節的・場所的変化と両種の発生期は黒木(1961)の調査結果と一致するようである。5)コスヂノリの一品種は9月下旬から10月下旬の建込で着生している。11月に顕微鏡的な大きさ或は3~22mmの大きさの細長い幼芽で中性胞子を形成し、スサビノリともマルバアサクサノリとも思われないものがあったが、これは本品種の幼芽と推定される。2.山田湾・船越湾で養殖されているコスヂノリの一品種と思われるものについての形態的観察をなし、その果胞子を培養、得られたコンコセリス体の単胞子の培養によってその性質を調べた。本植物はコスヂノリに似ているが、1)雄体が不明(或は稀?)であることと2)嚢果が表面観で凹凸があること等からコスヂノリの一新品種として取扱ったが良いと思われるので、ニセコスヂノリPorphyra angusta Okam. et Ueda f. sanrikuensis Kurogiなる名を与え、これの記載を行った。

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