酒類製造工程におけるリスク因子の挙動

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  • Fate of pesticides and mycotoxins in the course of alcoholic beverage manufacturing
  • サケルイ セイゾウ コウテイ ニ オケル リスク インシ ノ キョドウ

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抄録

本資料は,学位論文「酒類製造工程におけるリスク因子の挙動」(名城大学博士(農学)第00000047号,平成26年1月10日授与)の概要を解説したものである。国内外で発生している農作物およびそれを原料とする食品での汚染物質として,特に残留農薬とカビ毒は注意を払うべき化合物群である。これは,穀物や果実等を原料とする酒類においても当てはまる。今回,酒類の高度なリスク管理を実現するために,酒類製造工程中における残留農薬およびカビ毒の網羅的な挙動研究を行った。対象とする酒類はビール,焼酎,ワインとし,各工程をラボスケールで再現することで詳細な挙動を追跡した。その結果は次の4点にまとめられる。1) 酒類蒸留工程中の農薬およびカビ毒の挙動研究では,蒸気圧の低い一部の農薬を除き,汚染リスクは極めて低い。2) ビール醸造工程では,工程を経ることで多くの化学物質の濃度が減少する。減少の主たる要因はビール糟への吸着であり,特に脂溶性の高い化学物質ほど吸着され除去される。3) ワイン醸造工程では,一部の農薬とカビ毒は減少するが,多くの農薬やカビ毒において,その減少は限定的である。4) 酒類製造工程中、発酵工程において減少する農薬およびカビ毒は,いずれも毒性の低い化合物へ変化する。これらの結果より,醸造工程を経ることで,酒類製品への農薬およびカビ毒の汚染リスクが減少することを明らかとした。

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