Efficacy of regional hypothermia and intramammary infusion of antibiotics and anti-inflammatory analgesic for the treatment of peracute coliform mastitis

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  • 大腸菌群による甚急性乳房炎に対する乳房内冷却治療法の検討
  • ダイチョウキングン ニ ヨル ジンキュウセイ ニュウボウエン ニ タイスル チブサ ナイ レイキャク チリョウホウ ノ ケントウ

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乳牛の大腸菌群による甚急性乳房炎(Peracute Coliform Mastitis; PCM)の病態にはエンドトキシンに誘発されたサイトカインによる乳房内の過剰な炎症反応が関連すると考えられている。乳房炎治療の目標は罹患乳房の正常な泌乳能力の回復であり,その為には乳房内の過剰な炎症反応を早期に収束させる必要がある。当院ではPCM罹患牛における乳房内の炎症反応を早期に収束させることを目的として,乳房内冷却ならびに抗菌性物質,消炎鎮痛剤の乳房内局所投与(乳房内冷却群)を実施した。PCM罹患牛に遭遇した場合,5℃に冷却した生理食塩水1LにセファゾリンNa2gと水性デキサメサゾン5mgまたはフルニキシンメグルミン500mgを溶解し,乳頭口より乳房内に1日2回3日間注入した。PCM罹患牛229症例の診療記録を基に,乳房内冷却(n=80)の治療効果を抗菌性物質全身投与(全身投与群; n=109)ならびに抗菌性物質全身投与・乳房炎軟膏併用(軟膏併用群; n=40)と比較・検討した。転帰は泌乳能力の回復を指標としてA群: 初診より30日以内に罹患乳房乳汁の出荷が可能,B群: 初診より30日時点での罹患乳房の泌乳停止あるいは体細胞数高値での乳汁出荷不可能(他分房は出荷),C群: 治療中に死亡,または廃用の3群に分類した。全身投与群の治療成績はA群28頭(25.7%),B群40頭(36.7%),C群41頭(37.6%)に軟膏併用群でA群16頭(40.0%),B群15頭(37.5%),C群9頭(22.5%)であり,両群間の治療成績に有意差は認められなかった。一方,乳房内冷却群の治療成績はA群54頭(67.5%),B群18頭(22.5%),C群4頭(10.0%)であり,全身投与群ならびに軟膏併用群と比較し,有意に高い治療効果が得られた。乳房内冷却ならびに抗菌性物質,消炎鎮痛剤の乳房内局所投与はPCMに対する正常な泌乳能力回復に有効であると考えられた。本法は特殊な技術,機器,薬剤を必要としない点からも産業動物臨床現場において有用な治療法であると考えられる。

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