流域特性(黒ボク・非黒ボク・土地利用)が支配するP,Nの河川流出プロセス

書誌事項

タイトル別名
  • Watershed Soils and land use characteristics affecting the river runoff processes in terms of P and N concentrations
  • リュウイキ トクセイ(クロ ボク ・ ヒコク ボク ・ トチ リヨウ)ガ シハイ スル P,N ノ カセン リュウシュツ プロセス

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抄録

農耕地河川の上流部において,2009年夏・冬に75地点でリン(P),窒素(N)の測定を行った。GISで整備した土地利用,地形,土壌等の流域の環境情報と水質情報を組合せた統計解析を行った。黒ボク土は他の土壌より高いリン酸吸着特性を持つ事から,対象流域を黒ボク地帯と非黒ボク地帯の二者に分類した。この結果,黒ボク地帯ではPと土地利用や地形との相関が全く見られなかった。一方,非黒ボク地帯ではPと流域の建物割合や田割合との間に正の相関があった。この事からPの流出プロセスでは,土壌による吸着特性の違いは非常に重要な環境因子であることが示唆された。Nでは土壌での違いは見られなかったが,流域の畑割合との間に非常に強い正の相関があった。更に流域の畑割合が大きい流域において夏のN濃度が大きく下がっていた。Nの流出プロセスでは畑は主な発生源であり,更には夏におけるNの消費場所としての寄与が明らかとなった。黒ボク地帯以外の一般的な土壌の流域におけるP,Nの流出プロセスでは,負荷発生源としての土地利用や季節変化の影響は相対的に大きく,地形の影響は見えにくく,いくつかのケースでTWI(湿潤度指標)との相関が見られたに過ぎなかった。

収録刊行物

  • 陸水學雜誌

    陸水學雜誌 77 (1), 25-38, 2016-01

    松本 : 日本陸水学会

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