トレハロースの生理作用の探索 : 始まりからメカニズムにせまる最新の研究まで

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タイトル別名
  • Questing physiological function of trehalose : From the beginning to late-breaking news
  • トレハロース ノ セイリ サヨウ ノ タンサク : ハジマリ カラ メカニズム ニ セマル サイシン ノ ケンキュウ マデ

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抄録

トレハロースは,2分子のグルコースがα,α-1,1-グルコシド結合した非還元性の2糖であり,自然界で多くの動植物・微生物に分布している。その生理作用についても,昆虫での血糖としての利用や動植物における乾燥などのストレス耐性への関与など,古くから数多く報告されている。20年程前に酵素的な手法により,安価にかつ大量に製造する方法が確立されると,食品・化粧品などに広く利用されるようになり,ヒトでの作用の研究も拡大した。その1つの大きな流れは,糖,脂質代謝に関する研究であり,脂肪細胞の肥大化抑制効果の発見からヒトでの生活習慣病リスク低減効果の検証にまで至っている。骨吸収抑制作用の発見から始まった研究からは,骨粗しょう症や歯周病の予防効果への期待も高まってきた。また神経変性疾患においても,予防・発症抑制の可能性を示す結果が数多く報告されている。この様に,数々のヒトでの生理作用の報告がある一方で,分子レベルでのメカニズムについては,強いオートファジー誘導能発見などを端緒として,漸く明らかとなり始めたばかりである。本総説では,トレハロースの生理作用の全貌を概観し,そのメカニズム解明の現状を紹介する。

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