フェンフルラミンの中枢神経系への毒性について

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  • フェンフルラミン ノ チュウスウ シンケイケイ エ ノ ドクセイ ニ ツイテ

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抄録

ダイエット商品には根強い需要がある。中国の健康茶をイメージさせるダイエット食品に対して,日本の消費者は無防備である。個人輸入やインターネット販売によって,法の網をかいくぐり,危険な健康食品ややせ薬が,消費者の手元に簡単に届くことが,大きな社会問題となっている。中国製ダイエット食品による健康被害が報告された。これらのダイエット食品に含まれており,問題となっているのが食欲抑制剤「フェンフルラミン」である。これは,食欲抑制効果を期待して人為的に添加されたものと推察されている。フェンフルラミンは,中枢性セロトニン(5-HT)作動性食欲抑制薬であり,肥満症の治療に使用される。フェンフルラミンの5-HT神経系を介した精神神経学的副作用について,数多くの報告があり,不安を惹起し,認知機能,睡眠,人格などに影響を与えるのではないかと考えられている。フェンフルラミンの投与により,持続的な脳内5-HTレベルの低下を伴う,うつ状態が誘導される。原因として5-HT神経繊維の脱落および5-HT再取り込み部位の減少が報告されている。フェンフルラミンの濫用はまれであるが,薬物濫用歴のある者がフェンフルラミンを濫用したケースがあり,多幸症,知覚変化,非現実感のような症状が発現している。動物実験では依存性獲得は認められていない。フェンフルラミンの過量投与により,精神障害,振せん(震え),眠気,錯乱,紅潮,発熱,発汗,腹痛,過呼吸,散瞳,廻旋眼振,反射亢進・抑制,頻拍,痙攣,昏睡,心室性期外収縮,心室細動,心停止が起こる可能性が有る。米国では,フェンフルラミンを含む食欲抑制剤によって,心臓弁への副作用が発見され,1997年に販売を禁止,回収を指示している。

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参考文献 (22)*注記

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