美術を媒介とする統合的な自然体験の考察 -保育実践講習とメルボルン大学アーリーラーニングセンターの調査から-

書誌事項

タイトル別名
  • Inquiry for Integrated Approach of Natural and Sensibility Experience thought Art - Case Study of Teacher Training Workshop and Field Work in Early Learning Centre of Melbourne University -
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抄録

美術の媒介によって自然体験をより豊かにする実践理論の研究に取り組む中で,本稿では事例研究を通して幼児教育における実践方法の仮説生成を行った。様々な環境問題が積み重なる今日,持続可能性を探究する教育や一人ひとりの暮らしと意識の変容が求められる。科学技術や理性に根ざした取り組みだけでなく,感性的な視点から人間と自然の関係のあり方を問い直す実践が重要と考える。そこで領域「環境」「表現における感性に関連した先行研究から,自然を感じ味わう感性的体験を美術の媒介によって探究する取り組みに可能性を見出した。保育実践講習の事例では屋外で自然を感じ,その体験を美術の表現によって対象化し共有する取り組みが具体化された。メルボルン大学アーリーラーニングセンターでの調査では,様々な感覚を働かせて植物を感じ観察して描く活動が美術の基本的な活動要素に基づいて実践されていること,感受認識について他者と対話し,自己と自然事象との間に探究に基づく関係性が生成されていくことがわかった。こうした美術による自然体験の統合的な探究は,自然を既知性と知的理解に回収するInformation とは異なる,Ex-formation と言うべき自然の未知性の感性的な探究方法となりうることが分かった。

福岡教育大学紀要. 第四分冊, 教職科編

Bulletin of Fukuoka University of Education. Part IV, Education and psychology

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