『日本人』掲載論稿にみる井上円了の観光論

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タイトル別名
  • 『 ニホンジン 』 ケイサイロンコウ ニ ミル イノウエエンリョウ ノ カンコウロン
  • Inoue Enryo’s Views on Tourism Theory in “JAPANESE”

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抄録

本論は、今から130 年程前、明治21 年8 月から明治23 年5 月まで、7 回に渡って、雑誌『日本人』(政教社)に掲載された、井上円了の4 編の論稿のうち(本誌前号ですでに取り上げた)「坐ながら国を富ますの秘法」を除く3 編の論稿(「井上円了の欧米周遊日記」、「強兵策」、「旅店改良案」)について紹介し、これら一連の論稿で展開された井上円了の観光論、とりわけ観光立国論について分析・考察したものである。円了における一連の観光立国の提言は、条約改正を視野に、富国強兵・殖産興業を意図したものであるが、当時の日本の国情と日本人の気質に鑑み、即座に、容易に実行可能な、極めて現実的、理に適ったものであった。また、円了は、自然景観や文化財の保護・保全の必要性にも言及、さらに観光が文化の普及、国際交流、教育にとっても極めて重要な意味を持つことを認識していた。本論は、そのような、当時にあっては、極めてユニーク、先見的な井上円了の観光論について紹介し、その今日的な意味を明らかにしたものである。

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