権力バブルの再生産メカニズム-非必然的服従・第1.5者の審級・文化的稀少性の理論-

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  • ケンリョク バブル ノ サイセイサン メカニズム ヒ ヒツゼンテキ フクジュウ
  • ケンリョク バブル ノ サイセイサン メカニズム

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抄録

権力論を試行する。私の権力論が解くことを目指す問題を二つ明示する。「権力の,生成・(拡大)再生産・消滅」問題と,「権力の社会的固有性」の問題である。権力とは何かという権力の本質問題は,解くことを目指さない。脅しの権力状況を糸口とする0そこにおいて服従の非必然性というべきものを見出す。服従が非必然的であるのに,なぜ当事者は多くの場合服従をしてしまうのか。当事者は,選好の異人間比較をおこなっているからだと思われる。この選好の異人間比較は,確証することが困難である。よって,人は,自分の服従が必然ではないのではないかという「不安」を持つことがありそうなことになる。これを非必然的服従不安と呼ぶ。この不安をもっている人同士が出会うと,そこに「大した権力者」が成り上がっていく,というメカニズムをモデル化することができる。しかし,いかに大した権力者であっても,彼に対してなされる服従は必然的なものであるとはいえない。反抗がなされ,その反抗が成功してしまう可能性を払拭できない。この意味で,この権力は,「バブル」のようなものといえる。最後に,以上をふまえて,本稿の「権力」の定義を述べ,この権力論が当初の二問題への回答案となっていることを確認する。本稿は私が構想している「文化的稀少性の理論」の一各論として位置づけられる。

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