ワルチン腫瘍の診断における酸負荷唾液腺シンチグラフィの集積とMRI 所見や病理組織所見との比較

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  • 99mTc Pertechnetate Scintigraphy for Warthin Tumors of the Parotid Gland: Comparison of Histopathological and Magnetic Resonance Imaging findings

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抄録

目的:99mTc pertechnetateによる酸負荷唾液腺シンチグラフィ検査での集積程度がワルチン腫瘍の大きさや組織学的亜型と関連があるかを調べ,更に耳下腺のワルチン腫瘍と非ワルチン腫瘍の鑑別について,酸負荷唾液腺シンチグラフィとMRI検査の診断能を比較した。 方法:酸負荷唾液腺シンチグラフィと手術が行われた79名の患者(ワルチン腫瘍37個,非ワルチン腫瘍46個)について後顧的にシンチグラフィの集積程度を視覚的に評価した。これらのうち53名が術前にMRI検査を受けており(ワルチン 腫瘍21個,非ワルチン腫瘍33個),ダイナミック造影が50名(ワルチン腫瘍20個,非ワルチン腫瘍30個)になされていた。 ワルチン腫瘍の大きさや組織学的亜型(上皮成分の割合70-80%,40-60%,20-30%)と酸負荷唾液腺シンチグラフィの集積程度との関連を調べた。次にワルチン腫瘍か非ワルチン腫瘍かの診断能について,MRIのT2強調像とダイナミック造影像の所見を評価した。また,ワルチン腫瘍の診断における酸負荷唾液腺シンチグラフィとMRIのT2強調像とダ イナミック造影像について,正診率を統計学的に比較した。 結果:ワルチン腫瘍における腫瘍の大きさや組織学的亜型と酸負荷唾液腺シンチグラフィでの集積程度との間にはいず れにおいても統計学的な有意差は得られなかった(P=0.092,P=0.070)。8例の偽陰性例の中には6例が出血や硝子化,嚢胞変性,線維化,梗塞といった何らかの変性を伴っていた。異型性髄膜腫の転移の1例が偽陽性であった。それぞれの正診率については酸負荷唾液腺シンチグラフィが89%(感度78%,特異度98%),MRIのT2強調像が81%(感度81%,特異度82%),MRIのダイナミック像が82%(感度60%,特異度97%)であり,これらの検査間での診断能に統計学的な有意差は得られなかった(P=0.37)。 結論:ワルチン腫瘍における酸負荷唾液腺シンチグラフィでの集積は腫瘍の大きさや組織学的亜型のみが関与するわけ ではなく,出血や腫瘍の非活動性的な実質の変性によっても影響される可能性が考えられた。酸負荷唾液腺シンチグラ フィにおけるワルチン腫瘍と非ワルチン腫瘍の診断能はMRIでのT2強調像やダイナミック造影検査とほぼ同等であっ た。

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