公共図書館における館内閲覧量測定の有効性

書誌事項

タイトル別名
  • コウキョウ トショカン ニ オケル カンナイ エツランリョウ ソクテイ ノ ユウコウセイ
  • Kokyo toshokan ni okeru kannai etsuranryo sokutei no yukosei
  • Feasibility of measuring the in-library material use and its applicability to public library management

この論文をさがす

抄録

type:text

【目的】公共図書館において滞在型利用と立ち寄り型利用という二類型が見られることを背景に, 館内閲覧量を測定することの可能性と有効性を明らかにする。また, これをもとにした指標類の図書館経営上の意義を明らかにする。 【方法】公共図書館において調査員が館内を定期的に巡回しすべての利用者を観察する方法と入館者へのアンケート調査法の2 つを同時に行い, 館内閲覧量を時間単位で測定した。先行調査のデータと併せて, サービス方針が異なることの想定される都県立および市区立の4 図書館を調査対象とし, これらの館で測定したデータを比較分析し, 利用形態の差異を検出できるかどうかを検討した。また, 図書館経営上のツールとして, 実行可能な測定方法についても, シミュレーション・データをもとに検討した。 【結果】調査の分析と考察から, 館内閲覧量(時間)という評価指標について, 次のように言うことができる。1)各館の指向するサービス形態によって, 館内閲覧時間の総量や一人当たりの館内閲覧量(時間)は異なり, 調査研究を目的とした利用量を反映させることができる。2)館内での資料利用の実態を測定できることから, 公共図書館の経営評価を行い, 改善計画を立てるうえで有効なツールになり得る。3)巡回調査を様々な時間間隔でシミュレーションしたところ, 1 時間ごとの定期的な巡回により, 実行可能性と利用可能性の高いデータの得られることがわかった。4)館内閲覧時間の総量は, 館内滞在時間の総量や入館者の総数などの指標と組み合わせることで, より多面的な利用実態の把握を行うことができる。5)館内で図書館資料を利用する「館内閲覧」, 資料を借り出して館外で利用する「館外閲覧」, そして最後に図書館に直接来館することなく通信ネットワークを介して利用する「遠隔閲覧」の3 つの閲覧形態について「時間」を測定単位とした計測は, 図書館経営上意義ある視点である。

原著論文

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ