IFRSへのコンバージェンスに伴う税法課税所得概念の在り方 : 会計基準の国際化に対応した租税構造の必要性と課題

書誌事項

タイトル別名
  • IFRS エノ コンバージェンス ニ トモナウ ゼイホウ カゼイ ショトク ガイネン ノ アリカタ : カイケイ キジュン ノ コクサイカ ニ タイオウシタ ソゼイ コウゾウ ノ ヒツヨウセイ ト カダイ
  • IFRS eno konbajensu ni tomonau zeiho kazei shotoku gainen no arikata : kaikei kijun no kokusaika ni taioshita sozei kozo no hitsuyosei to kadai
  • The concept of taxable income accompanying convergence for international financial reporting standards : the necessity and challenges for tax structure corresponding to internationalization of accounting standards

この論文をさがす

抄録

type:text

「会計における単一で高品質な国際基準を策定する」という目標がG20首脳宣言(2008)において明確に示されて以降, 世界共通のモノサシとしてのIFRS(国際財務報告基準)へのコンバージェンスが急速に進められ, 同時に任意適用企業の拡大促進へあらゆる施策が取り組まれている。  しかしIFRSの導入は, わが国が今まで築き積み上げてきた会計と税務の有機的結合という伝統的な関係に大きな影響を及ぼす懸念がある。けだし会社法, 金融商品取引法, 税法との親和性を遮断し, 今後永遠に相容れない乖離への序章となるかもしれない。  日本の税務申告は確定決算主義が採用されており, 会計上の利益を基礎として税務上の課税所得を導き出す仕組みであるため会計と税務は密接な関係がある。ゆえに従来の各法律改正等はその関係の整合性を損なうことがないように配慮されてきた。他方IFRSは, 投資家に対する将来キャッシュ・フロー予測に役立つ情報提供を重視している。企業価値評価に着目した「包括利益」という概念は, 権利確定主義を土台とし見積的要素を極力制限する税務上の「課税所得」概念と本質的に異なっており, このままでは会計と税務の乖離が拡大し実務はさらに煩雑化するであろう。  わが国はいまデフレ脱却を果たし長い停滞から抜け出す好機であり, アジアそして世界を再びリードする存在となるためにも, 短期的な利害や制約の壁を絶対に乗り越えなければならない。IFRS適用企業はあらゆる分野において世界経済の中で大活躍をしている「日本代表」企業である。世界がわが国の動向を注視している今こそ「One for all, All for one」の精神で, すべからく日本国一丸となりIFRS適用企業拡大に向け税務がインセンティブを与えるべき時である。  「税は生き物である」と言われるように, 時勢に応じた税制を迅速に構築することが今まさに望まれている。

論文

収録刊行物

  • 慶應商学論集

    慶應商学論集 27 (1), 41-57, 2014

    慶應義塾大学大学院商学研究科『慶應商学論集』編集委員会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ