根管内からの機械的および化学的拡大が4-META/MMA-TBB レジンによる垂直歯根破折間隙の封鎖性に及ぼす効果

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  • The effect of combination of mechanical and chemical enlargement through the root canal on sealability of vertical root fracture gap using 4-META/MMA-TBB resin

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抄録

垂直歯根破折に対する保存治療の基本は,破折間隙を接着し,封鎖することである.超音波エンドファイルを用い,根管内から破折線を切削すると,破折間隙の封鎖性は向上するが,過剰切削や切削不足が生じることが課題である.一方,化学的な根管壁の溶解によって,機械的拡大が困難な部位の根管拡大が可能であるので,本研究では破折間隙の切削と化学的拡大を併用することで,接着後の封鎖性が向上するかを検討した.  実験1.ヒト抜去歯から厚さ1mmの象牙質片を作製して破折,復位固定した.破折間隙に対して,処理群は10%クエン酸/ 3%塩化第二鉄溶液(10-3溶液)5分,10%次亜塩素酸ナトリウム溶液(NC)2分の処理を1回あるいは3回行った.未処理群では破折間隙の処理は行わなかった.3群ともスーパーボンドで破折間隙を接着し,色素侵入試験を行うとともに破折間隙幅を計測した.その結果,間隙幅は3回処理群が他の2群より有意に広く(p<0.05),色素侵入率は3回処理群が他の2群より有意に小さかった(p<0.05).  実験2.ヒト抜去歯を垂直破折させて復位固定し,破折間隙に対して以下の処置を行った.①未処理群:処理なし.②形成群:ソルフィーZXのオートストップ値を1.0に設定して超音波エンドファイルで破折間隙を切削.③化学的拡大群:10-3溶液5分,NC2分の処理を3回.④併用群:②の後に③の処理.4群ともスーパーボンドで破折間隙を接着後,色素侵入試験を行った.その結果,併用群においては歯根表面に切削が達している試料はなく,その色素侵入率は他の3群と比較して有意に小さかった(p<0.05).  以上の結果から,超音波エンドファイルによる破折間隙の切削と化学的な拡大を併用することは,過剰な切削を防止して封鎖性を向上するのに有効である.

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