ハイドロキシアパタイトブロックを用いた圧縮力がMC3T3-E1細胞に与える影響について

HANDLE オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • The effect of compressive force with hydroxyapatite block on MC3T3-E1 cells

この論文をさがす

抄録

本研究の目的は,メカニカルストレスを想定したハイドロキシアパタイト(Hap)ブロックによる圧縮力が骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1細胞)に与える影響を明らかにすることである.ポリスチレンディッシュで培養後に細胞上にHapを静置することにより圧縮力を負荷した群(UH群)とディッシュ上に静置したHap上で細胞を培養後にHapを反転し圧縮力を負荷した群(OH群)を実験群とし,ディッシュ上で通常培養したものをコントロール群(C群)とした.各群ともconfluence後に圧縮力を負荷し,1,2および3日間培養行い,総蛋白質量の測定と,Alkaline Phosphatase(ALP),Osteocalcin(Oc),RANKL,OPGのmRNA発現量をreal-time PCR法にて定量した.総蛋白質量は,UH群,OH群とも経時的に増加したが,C群と比較し有意に低い値を示したことから,細胞増殖の抑制が示された.UH群においては,OcとALPの遺伝子発現は経時的に増加したが,Ocは3日後,ALPはいずれの時点においても,C群に比較し有意に低い値を示した.RANKLは経時的に増加しC群に比較し有意に高い値を示したが,OPGは有意に低い値を示した.以上の結果から,骨芽細胞の分化は抑制され破骨細胞の分化が促進される可能性が示唆された.一方,OH群においては,OcとALPは経時的に増加し,Ocでは負荷3日後,ALPではいずれの計測時点においてもC群に比較し有意に高い値を示し,RANKLは経時的に減少しC群に比較し有意に低い値を示したことから,UH群と異なり,骨芽細胞の分化が促進され破骨細胞の分化は抑制される可能性が示唆された.以上より,MC3T3-E1細胞に対するHapによる圧縮力は,細胞増殖を抑制すること,また圧縮力の方向は骨形成に関する機能発現と破骨細胞の分化に影響を与えることが示唆された.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ