カリブ海とロビンソン・クルーソー物語 (3)

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タイトル別名
  • カリブカイ ト ロビンソン クルーソー モノガタリ 3
  • The Caribbean Sea and the Robinson Crusoe Story (3)

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抄録

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ロビンソン・クルーソーが漂着した島の土地が誰のものなのかについて考える。その島は、いわゆる「新大陸発見」を契機にして始まったヨーロッパ人の行動範囲の拡大にともない、ヨーロッパ人によって次々と占領された土地のひとつとみなしうる。それらの土地の領有権の問題がいかにしてとらえられてきたかを考察するために、ロビンソン・クルーソー物語と比較できる三つのテクストを取り上げる。まず、「新大陸」という広大な土地の「発見」の契機となったコロンブスの航海を記した『コロンブス航海誌』、ちょうど同時代にアジアに進出し、日本の種子島に漂着した船に乗っていた3名のポルトガル人が登場する『鉄砲記』、さらに、ダニエル・デフォーの同時代人スウィフトが『ガリヴァー旅行記』に記した海外領土に関する言説である。これらのテクスト群のなかに当てはめることにより、ロビンソン・クルーソーの島に関する言説が、王の権威にもとづいて領有を主張するコロンブスとも、国王の臣民たちが推進する植民地拡張に批判的なガリヴァーとも異なる、特殊なものであることが明らかになる。

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