自己中心性尺度の作成 : 「他者への共感不全」と「自己内省の困難さ」に焦点を当てて

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本研究においては,「自己中心性」について,ピアジェの自己中心性を起点として概念整理を行い,共感不全,及び自己省察的態度の欠如という 2 つの側面を持つ概念として定義した.そして,そのような自己中心性を測定するための尺度を作成し,他尺度との相関からその特性について考察した.具体的には,684名の大学生・大学院生を対象に調査を行い,因子分析の結果,仮定した2因子モデルの妥当性が確認され,「他者への共感不全」と「自己への内省困難」と命名した.また,α係数及び再検査信頼性係数も十分な値を示し,信頼性が確認された.他尺度との相関からは,「他者への共感不全」は,情動的にも認知的にも他者の身になることが難しいという点において,「自己内省の困難さ」は,自己完結的で独善的になりやすいという点において,いずれも自己中心的な心性を表しており,「自己中心性」の2つの側面を捉えられていることが確認された.また,「自己中心性」は本人の精神的な不健康さとは結びついておらず,当人よりもむしろ周囲の人が迷惑する可能性が示唆された.今後は,「自己中心性」が対人場面で起こす問題への介入策について検討することが課題である.

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