永続的所有を表す叙述表現に関する英語と日本語の比較 : Stassen の類型論研究に基づいて

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  • エイゾクテキ ショユウ オ アラワス ジョジュツ ヒョウゲン ニ カンスル エイゴ ト ニホンゴ ノ ヒカク : Stassen ノ ルイケイロン ケンキュウ ニ モトズイテ

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抄録

本論文では,人間が譲渡可能な物体を自分のものとして永続的に持つという意味を,文という形で表す所有叙述表現を研究対象とする。類型論研究 Stassen(2009)を概観し,この枠組みに基づき英語と日本語の所有叙述表現を分析・考察した。その結果,以下の点を明らかにした。英語と日本語の相違点は(1) 類型論上,永続的譲渡可能所有の意味を,英語は HAVE 構文(have タイプを用いた他動詞構文)で,日本語は LOC 構文(場所を表す自動詞構文),TOP 構文(話題を表す自動詞構文)で表す。(2)その構文で使われる動詞に関して,主に,英語では have,日本語では,「いる / ある」が使われる。LOC/TOP 構文では使われないが他動詞「持っている」も使われる。(3)所有文と存在文の交替に関して,a)所有文に場所表現を加えると存在を表す,b)存在文に所有表現を加えると所有を表すという方法がある。日本語は a)b)両方可能,英語は a)は可能で,b)は使えない。共通点としては,(i)文中に生起する所有者表現と所有物表現の順序は,前者が先,後者が後である。(ii)所有物の語彙的意味が文全体の意味を決める点である。

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