アウトカムに視座を置いた非営利組織活動研究 : 活動参加者の「学習」と「価値創造」に主眼を置いた概念枠組みに関する一考察

書誌事項

タイトル別名
  • Non-Profit Organization's Activities Research from the Viewpoint of outcomes : A Study on the Conceptual Framework for the Personal "Learning" and "Value Creation"
  • アウトカム ニ シザ オ オイタ ヒエイリ ソシキ カツドウ ケンキュウ カツドウ サンカシャ ノ ガクシュウ ト カチ ソウゾウ ニ シュガン オ オイタ ガイネン ワクグミ ニ カンスル イチ コウサツ

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抄録

P(論文)

民間を主体とした非営利組織活動からは,「生きがい」や「新たな学び」というような数量化しがたいアウトカム(outcome)を見出すことができる。これまでの非営利組織をめぐる議論では,それらのアウトカムが十分に扱われてきておらず,それらを起点に非営利組織活動を論じる段階には至っていない。だが,市民による非営利組織活動が創出され,展開されていく時には,そこに何らかの活性化要因があることは,今日の盛んな各種の試みを概観する限り,疑いようの無い事実であると考えられる。しかし,アウトカムに視座を置いた非営利組織活動研究は,組織というものに主眼を置きながら,その文脈にある個人の問題に注目する,という先行研究とは異なった視点と方法論を必要とする。そのため,筆者は上記の問題意識に基づき,本稿においてアウトカムに視座を置いた非営利組織活動研究の必要性を論じた。なお,筆者は本稿における「アウトカム」を,結論に述べるように「学習」と「価値創造」として位置づけている。具体的に本稿はまず,非営利組織に関する先行研究が持つ視点を概観し,特に非営利組織の機能と特徴について触れ,検討を行うための基盤構築を試みた。次に,非営利組織活動の特徴と評価指標に関する検討を試み,アウトカムに2つの位相が存在することを指摘した。次に,サービスの特性を扱った緒論に触れることにより,サービスの需要サイドと供給サイドの共進化が発生することについて検討を試みた。最後に,サービス対象者と組織成員という「個人」が持つ2つの位相について,これらを取り扱う諸理論の趨勢から整理を行い,結論として「学習」と「価値創造」から非営利組織活動を位置づける枠組みについて述べた。

収録刊行物

  • 千葉商大論叢

    千葉商大論叢 45 (1), 45-68, 2007-06

    市川 : 千葉商科大学国府台学会

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