Alternative Investment(In Commemoration of the Retirement of Professors Kiichi Kageyama and Yasunori Takagi)
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- オルタナティブ投資の在り方について(影山僖一先生、高木泰典先生退職記念号)
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P(論文)
本稿では,最近期,個人の資産運用においても,少しずつ取り上げられるようになったオルタナティブ投資について論じてみたい。「絶対リターンを追及する」等々オルタナティ投資ついては様々なフレーズで表現される。こういった環境の中,オルタナティブ投資を我が国において先行的に開始した確定給付型企業年金運用の運用手法の在り方を参考にしつつ,今後,個人がオルタナティブ投資に取り組むにあたって冷静に留意すべき点を抽出しようとした。オルタナティブ投資において,最近期,我が国で喧伝されているフレーズにはその資産特性を十分に検討すること無く,過去のヒストリカルトラックレコードなどをベースに投資が行われることが多い。確定給付型企業年金のような機関投資家ですら,例えば,ヘッジファンドの特つリターン・リスク特性については,非常に詳細な検討を施し,投資を実施しようとしている。個人投資家にとっては,ヘッジファンドにおいてもファンドオブファンズの投資が限界だとした場合,個別のシングルファンドの運用機関選択は専門的なゲートキーパーに依存せざるをえない。ただ,しかし,自身のポートフォリオを構成する場合には,現資産であるシングルファンドが総体としてどのような特性を有する投資対象群であるかを十分に検討する必要がある。最近期,生じているサブプライム問題も,証券化という手法を通じて,原資産の特性を変化させた,恰も,原資産の特性を離れた,リスク・リターン商品が出来上がるような誤解の中で問題が深くなりはじめている。更に,過剰流動性を背景にレバレッジを生じることで,表面上のリスク・リターンは大きく生じているように見えるというものである。伝統的資産の分散投資においても,最適化計算によって「魔法の」資産配分が導かれるわけではないこと,やはり,内外株式,内外債券といった伝統的資産の特つリターン・リスク特性を十分に把握するといった投資対象の検討が重要である。オルタナティブ投資といっても,何か特別な資産がある日突然生じたわけではないこと,何といっても,資産の特つ特性についてじっくりとした検討を経て初めて投資対象となることを我々は肝に銘じて置くべきである。
Journal
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- 千葉商大論叢
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千葉商大論叢 45 (3), 23-30, 2007-12
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050564289133329664
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- NII Book ID
- AN0014259X
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- departmental bulletin paper
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- Data Source
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- IRDB