トーマス・ウエードと漢語会話テキスト : 『語言自邇集』の言語観(二) : 『語言自邇集』、『問答篇』、『三合語錄』、『清文指要』、『初學指南』の対照

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タイトル別名
  • Thomas Francis Wade and Chinese conversation textbook (2) : by contrast with Yuyanzierji,Wendapian, Sanheyulu,Qingwenzhiyao and Chuxuezhinan

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説明

『語言自邇集』は、1867年にトーマス・フランシス・ウェードによって編纂された北京の官話のテキストである。それまで主流とされていた南京官話に対して、当時の英国外交官であったウェードが、ある種の必然性と意識を以って、『清文指要』系統の満漢合壁のテキストを基に編纂したものとされている。更に、この『語言自邇集』は明治以降、近代日本の中国語テキストに大きな影響を与えた本としても知られている。既に、「威妥玛和汉语会话课本―从『語言自邇集』考察威妥玛所追求的语言境界―(一)の『語言自邇集』、『問答篇』及び『清文指要』対照」において、ウェードの目指す大きな方向性については確認をした。しかし、実際には、『語言自邇集』、『問答篇』、『三合語錄』、『清文指要』、『初學指南』という流れがあり、これらすべてのテキストを揃えることは、前段階では不可能であった。その後、関西大学教授内田慶市先生のご好意で、関係版本を確認させて戴くことが出来、今回は、これら五版本における語彙の異同と書き換えの原因の検証を行うこととした。このことから、更に複雑で様々な変更の要因が含まれていることが判明した。そこで、本稿では、対象版本を増やし、語彙の前面的な対照を行うことで、『語言自邇集』に至る各版本の中国語表現を整理し、編纂の過程を検証した。原稿の全体量が大部になるため、分割し、ここでは第一章のみを載せ、第二章以降は次に譲る。最終的には、ウェードの中国語に対する意識と『語言自邇集』の言語の性質について考察すると共に、現代漢語の基礎を構成する18世紀から19世紀にかけての北京官話の様相の考察を目指すものである。

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