Effects of Cutting and Grazing on Vegetation and Productivity of Shrub-steppe in the Loess Plateau, North-west China

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  • 中国北西部の黄土高原におけるかん木ステップの植生と生産性におよぼす刈取りと放牧の影響

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抄録

中国北西部に位置する黄土高原は過放牧のためにその植生が荒廃しつつある。そこで,かん木ステップの植生と生産性におよぼす刈取りと放牧の影響を明らかにするために,1989年5月から1991年10月までの間,雲霧山草原保護区において研究を実施した。毎月,植生を調査し,優先種のDM重を種別に測定した。また,土壌を3試験地と過放牧地から採取して,化学分析を行った。植物の総出現頻度は7835個であり,この結果について種の相対出現頻度を求めた。イネ科がもっとも多く(26%),次いでキク科(24%)とマメ科(12%)が多かった。実験を行った3 年間で,有意に増加した種はTrigonella ruthenicaとPotentilla acaulis であり,有意に減少した種はPoaphondylodes, Agropyron cristaum, Potentillabifurca, Heteropappus altaicus であった。種の多様性は他の処理区より刈取り区で明らかに低かった。主成分分析による座標付けの結果では,Trigonella ruthenica,カヤツリグサ類, Aneurolepidium dasystachys,Thermopsis lanceolata は過放牧の状態から自然に回復する時の指標種であった。Artemisia frigida とPotentilla acaulis は放牧区において顕著な種であった。月ごとの地上部DM 生産量について, Stipa bungeanaは刈取りや放牧の後に非常に良好な再生力を示し,その結果として高い地上部DM 生産量を達成していた。また,Stipa bungeana は他の種と比べて主要な栄養素が有意に低く,逆に繊維成分は有意に高かった。土壌分析の結果から,総炭素とリンの濃度は,過放牧の状態からの回復の程度と関連していることが示唆された。

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