牛ふんを主原料とする堆肥中リン酸並びにカリウム含量の変動特性

書誌事項

タイトル別名
  • The change characteristic of phosphorus and potassium content in compost made from cow manure as a main raw material
  • ギュウフン オ シュ ゲンリョウ ト スル タイヒ チュウ リンサン ナラビニ カリウム ガンリョウ ノ ヘンドウ トクセイ

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抄録

特殊肥料である家畜ふん堆肥中の肥料成分含量等については,肥料取締法により表示が義務付けられている。過去に堆肥製造施設16か所について,製造される堆肥中の窒素含量とその年間変動について調査したところ,一部の施設で表示に係る誤差の許容範囲を超える可能性が示唆された。そこで,リン酸やカリウムについても,同様の調査を行ったところ,以下の結果が得られた。調査した全施設を平均した成分含量と標準偏差は,堆肥現物当たり窒素で1.0±0.20%,リン酸で1.1±0.26%,カリウムで1.9±0.45%であり,カリウム含量は,窒素やリン酸に比べて高かった。それぞれの堆肥製造施設において,成分含量の平均値と標準偏差は正比例の関係にあり,成分含量が高い堆肥を製造する施設ほど成分含量の変動が大きく,誤差の許容範囲を超える可能性がある施設は,窒素で約1割,リン酸で約3割,カリウムで約6割であった。リン酸及びカリウム全量のうち,肥料的効果を示す画分として,各成分含量(全量)に占めるク溶性リン酸並びにク溶性カリウムの割合とその変動について調査した。その結果,ク溶性リン酸の割合は平均81~92%の範囲にあり,各施設の変動を示す標準偏差は2.0~7.8%の範囲であった。ク溶性カリウムの割合は,平均96~105%の範囲にあり,標準偏差は1.5~10.2%の範囲であった。これらのことから,リン酸並びにカリウムの全量は,一部の堆肥製造施設で変動が大きい施設があるものの,肥効率の指標となる各画分の割合は高く,また,施肥設計を行う際に支障とならない程度に安定していることが明らかとなった。すなわち,簡易測定法などによってリン酸及びカリウムの全量を把握することで,合理的な堆肥施用量の決定ができると考えられた。

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