マルグリット・デュラスが描くヒロシマ --『ヒロシマ・モナムール』におけるドイツ人兵の死について--

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  • 馬場, 智也
    京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Hiroshima raconté par Marguerite Duras --A propos de la mort du soldat allemand dans Hiroshima mon amour--
  • マルグリット ・ デュラス ガ エガク ヒロシマ : 『 ヒロシマ ・ モナムール 』 ニ オケル ドイツジンヘイ ノ シ ニ ツイテ

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抄録

マルグリット・デュラスはアラン・レネの依頼で映画『ヒロシマ・モナムール』のシナリオを執筆し, そのシナリオに豊富な後書きを追加した上で, 映画公開後に自身の文学作品として上梓した. 本稿が扱うテクストは, この書籍としての『ヒロシマ・モナムール』である. 本作の特徴は, 主人公であるフランス人女性の個人的な記憶に, 彼女が直接見ていないヒロシマの大惨事を対峙させたことにある. しかし実は, その個人的な記憶にも彼女が直接見ていない視覚的な空白期間が内在している. 本作では, その空白を可視化・言語化することが, ヒロシマを直接見ようと試みることと同等の困難さをもってフランス人女性に突きつけられているのだ. とりわけ彼女の元恋人であるドイツ人兵の死は, 原子爆弾炸裂の瞬間と同様に, それ自体が決して可視化できない対象として描かれている.

収録刊行物

  • 人間・環境学

    人間・環境学 28 67-79, 2019-12-20

    京都大学大学院人間・環境学研究科

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