中国北方と南方における石敢當の比較研究 −山東省と福建省を例に−

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タイトル別名
  • A Comparative Study of Shigandang (Ishigandou) from Northern and Southern China −A Case Study in Shandong and Fujian Provinces
  • 中国北方と南方における石敢當の比較研究 : 山東省と福建省を例に
  • チュウゴク ホッポウ ト ナンポウ ニ オケル セキカントウ ノ ヒカク ケンキュウ : サントウショウ ト フッケンショウ オ レイ ニ

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抄録

「石敢當」は中国古代の習俗の一つで、一般的に道路の突き当たりや家の壁、橋の入り口などに設置される魔除けや厄除けのための石造物である。石敢當には一般的な石敢當(泰山の文字がない物)と泰山石敢當がある。具体的な出現時期と発祥地は不明であるが、石敢當は唐代末期に今の福建省南部で誕生したと考えられている。宋元時代には北方の山東泰山地域で泰山石敢當が出現した。 中国古代史料の中に、石敢當に関する事柄が頻繁に出ているが、石敢當を建てる習俗の記述を除くと、そのほとんどは石敢當の由来についての解明である。古代資料には泰山石敢當の実物及び泰山石敢當を設定する事情の記述も多くあるが、興味深いことに、泰山石敢當の由来についての記述は一つもなかった。 1970 年代以後、日本でも石敢當に関する多くの書物に中国の石敢當が書かれているが、その研究は主に中国南方に限られており、単独で泰山石敢當を対象にしたものは特に行われていなかったといえる。一方で、同時代の中国の石敢當研究は、まさに泰山石敢當ブームであったともいえる。現時点では、中国においても、日本においても、石敢當と泰山石敢當を分けて比較する研究はほとんど行われていない。 本稿では、中国北方と南方における石敢當のフィールドワークを通し、先行研究の資料と併せて各地域の石敢當の様子、石敢當と泰山石敢當の割合、地域住民の石敢當に対する認識などを調査し、中国南北の石敢當にはどのような異同があるのかを究明したい。中国の地理テキストは秦嶺―淮河を境界線にして、中国南方と北方を分けている。本論文で使用する中国南方と北方はおおよその範囲であり、必ずしも地理定義のように精確なものではない。なお、中国少数民族集住地域と山東省、福建省、浙江省など漢民族集住地域の石敢當はまた違うため、本論文では少数民族集住地域を対象外とする。調査地域は、中国北方の山東省泰山地域と南方の福建省中南部地域を選定した。

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