看護師の職業性ストレスとアディクション

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  • カンゴシ ノ ショクギョウセイ ストレス ト アディクション

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抄録

総合病院と精神科病院勤務の看護師795名を対象に、職業性ストレスとアディクションの実態および、それらの関連を明らかにすることを目的に自記式質問紙調査を実施した。結果、(1)総合病院の看護師の量的労働負荷、労働負荷の変動、抑うつが精神科病院よりも高く、対人葛藤、自尊感情、職務満足感は低く、またストレスの自覚も高い可能性、(2)喫煙や飲酒への依存は、抑うつ、職務満足感のストレッサーとしては働いていない可能性、(3)特に精神科病院群の喫煙率、「毎日ないしほぼ毎日」飲酒する者の割合、ニコチンおよびアルコール依存症が疑われる者の割合が高い可能性、(4)喫煙者の身体的自覚症状は非喫煙者よりも高く、FTND得点によりニコチン依存症が疑われる者の対人葛藤と抑うつは、疑われない者よりも高い可能性、(5)アディクションのみならず仕事のストレッサーも喫煙に影響している可能性、(6)飲酒頻度の高い者ほど技能を活用し、かつ抑うつは低い可能性、しかしアルコール依存症が疑われる者の身体的自覚症状と抑うつは、疑われない者よりも高い可能性、(7)2交代勤務者、男性、身体的自覚症状の高い者のCAGE得点が、3交代勤務者、女性、身体的自覚症状の低い者よりも高く、飲酒行動の有無ではなく、アルコールへの依存度が職業性ストレスと関連している可能性、(8)向精神薬の使用が「蔓延している」可能性が否定できる一方で、ギャンブル習慣が少なくない可能性、(9)向精神薬使用者の身体的自覚症状と抑うつは非使用よりも高く、かつ睡眠薬使用者の対人葛藤は非使用者よりも高く、社会的支援は低い可能性、(10)ギャンブルを「日常的にしている」者の仕事のコントロールと人々への責任は、それ以外の者よりも低い可能性等が示唆された。以上、職業性ストレスモデルにアディクションが関与していることがうかがわれたことから、今後は追跡調査と共に、アディクションを視座に入れた、予防的観点をもった職場のメンタルヘルス方策を構築していくことが重要であろう。(著者抄録)

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