A. ベルク《抒情組曲》の象徴的含意と作曲技法―第6楽章(声楽パート付)の歌曲的視点からの考察―

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  • Symbolism and Compositional Technique in Alban Berg’s Lyrische Suite―A Study of the Sixth Movement (Vocal Version) from the Perspective of Lied―

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抄録

《抒情組曲》の第6 楽章に「歌」が隠されていたことが明らかにされて以来、多くの研究がなされてきたが、A.ベルクが得意とする歌曲の観点からの検証は、あまり例を見ることがない。本研究の目的は、筆者におけるベルクの歌曲研究の一環として、第6 楽章の「歌」を掘り下げ、分析することにある。  「歌」は、C. ボードレールの『悪の華』の「深淵より叫ぶ」を、S. ゲオルゲがドイツ語訳したものを歌詞としており、晩年のベルクと親しい間柄にあったハンナ・フックス夫人に密かに送られたものである。ここでは[H]anna[F]uchs、そして[A]lban[B]ergの頭文字や、[10](ハンナの数)と[23](ベルクの数)などが重要な象徴となる。たとえば、音列の配列方法などにも音名象徴が活用されており、楽曲の核とも言える「鏡像部分」の境目は、第23 小節となる。こうした表現手法は、青年期から磨き上げてきた、ベルクの歌曲作家としての手腕に起因するものと本研究は考える。

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