韓国における監督義務者責任論の形成と展開 (特集 シンポジウム 東アジアにおける監督義務者責任の現状と課題)

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タイトル別名
  • The Formation and Development about the Responsibility of Person Obligated to Supervise in Korea
  • 韓国における監督義務者責任論の形成と展開
  • カンコク ニ オケル カントク ギムシャ セキニンロン ノ ケイセイ ト テンカイ

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抄録

論文

韓国において、誰が責任無能力者の法定監督義務者になるべきかという問題につき、通説は、後見審判を受けた場合には後見人が法定監督義務者に当たると解する。後見人のいない責任無能力者については、慣習法または条理に基づいて、法定監督義務者を決定すべきであるという。精神健康福祉法上の保護義務者は、後見人と扶養義務者の順で就任し、精神疾患者の他害防止義務を負っている。禁治産宣告を受けていない心神喪失者の不法行為につき、条理上、妻、父母、戸主の順で法定監督義務者になるとの判例がある。 一方、社会の実情に目を向けると、認知症高齢者、重症精神疾患者、知的障害者等が増えている現実がある。ある調査によると、親族が後見人として選任される比率が87.3%、親族の中では、子女が後見人として選任される頻度が最も多く、続いて配偶者、父母、兄弟姉妹等の順である。認知症高齢者が増える中、子女が後見人になることが最も多いことから、法定監督義務者としての子女がいかに高齢者の監督ができるのか、また監督すべきであるのか課題が少なくない。また、痴呆患者をケアする家族の負担緩和に向けた国家や地方自治団体に対する努力義務の挿入、後見人は法定監督義務者に当たらないとする見解、親権者であるから当然に法定監督義務者になるわけではないとの見解の登場など、変化の兆しもないわけではない。

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