気球による太陽中性子観測のための予備実験

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  • キキュウ ニ ヨル タイヨウ チュウセイシ カンソク ノ タメ ノ ヨビ ジッケン

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太陽フレアに伴って,放出されると予想される高エネルギー中性子を気球で観測するために,1967年4月30日にゴム気球を使用して予備実験を行なった.この予備実験は,気球搭載用に製作した高エネルギー中性子測定器の試験と,高空(~10g/cm^2)におけるバックグランドの強度の測定を目的として行なった.高エネルギー(>3.5MeV)の中性子と,プラスチックシンチレーター内の水素原子との弾性散乱による反跳陽子を検出する方法を用いた.気球飛揚は順調に行なわれ,高度14mbまで達した.測定された反跳陽子の3.5~15MeVの範囲のエネルギー分布は,大気中性子のエネルギースペクトラムをJ_n(E_n)=0.5E_m^<-1>/sm^2, sec, MeVとすれば説明できる.ただし今回の測定器は,γ線の除去をしていないので,上記の結果にはかなり大気γ線の寄与が含まれている.この実験の結果太陽からの10^<-2>neutrons/cm^2, sec程度の中性子強度を検出するためには,更に荷電粒子の除去を完全にすると共に,γ線の除去が必要であることが判明した.また気球の水平飛行中,4月29日23時54分(U. T.)より強度の急激な増加が観測された.この増加はきわめて短時間(約10分間)に回復しており,その原因については断定しがたいが,太陽面における小フレアに伴ったγ線バースト(数MeV)現象によることが一つの可能性として考えられる.

資料番号: SA0125081000

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