Stability, enhanced gauge symmetry and suppressed cosmological constant in 9D heterotic interpolating models

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タイトル別名
  • 9ジゲン ヘテロガタ ナイソウ ゲン モケイ ニオケル アンテイナ シンクウ ゲージ タイショウセイ ノ カクダイ ウチュウコウ ノ ヨクセイ
  • 9次元ヘテロ型内挿弦模型における安定な真空、ゲージ対称性の拡大、宇宙項の抑制

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抄録

<研究の内容(参照[Link1])>所謂「ゲージ理論」に基づく現代の素粒子物理学の最重要課題の一つとして、自然界の3つの相互作用(電磁気力、弱い力、強い力)の統一が挙げられます。これは場の量子論から得られる「走る結合定数」に基づき広く支持されている描像です。相互作用の統一を成し遂げるには、ゲージ群が半単純 Lie 代数に基づいていることが必要です。弦理論のコンパクト化では、余剰次元の形状や Wilson line と呼ばれる定数外場に基づく多くのパラメターが生じ(その全体はモデュライ空間と呼ばれる)、モデュライ空間の総称的な点では、10次元で得られている統一理論の描像を壊してしまいます。値を決定するためには、有効ポテンシャルの考察に基づき、真空の候補となるすべての場合を尽くさねばなりません。上記の内挿コンパクト化模型に関する先行研究では、導入されたパラメターは1つだけで、宇宙定数を小さく保ちながら、素粒子の統一理論が4次元でどのような形で得られるのかに関しては、何の知見も得られませんでした。今回の研究では、半径パラメターに加え可能なすべての Wilson line を導入し、弦の摂動論の1ループ近似の範囲内で、宇宙項の値が小さくなっていく漸近領域での有効ポテンシャルの極小点を尽くすことに成功しました。極値を与える点では、ゲージ群の拡大現象が見られ、数々の半単純 Lie 代数が得られました。とりわけ SO(18)×SO(14)を与える点では、質量無しフェルミ粒子とボース粒子の数が等しくなり(近年nf = nbの場合と呼ばれている)、宇宙項が指数的に抑制され、上記の階層性問題の解決策の端緒になると期待されます。このような拡大現象を明らかにするには、「カレント代数の指標」の上記パラメター依存性を顕に見出す必要がありますが、この問題を解決するために、我々は「ローレンツ格子関数」と指標を連動させつつブーストする手法を編み出しました。極値を与える一連の点は有効ポテンシャルの鞍点になっているため不安定であり、最小を与える点ではゲージ群は最大限に拡大していることが判明しました。こうして得られた摂動論的に安定な真空は質量無しのボース粒子の励起のみを持っており、負の宇宙項を持つ反ド・ジッター真空を与えてしまいます。従って、素粒子物理学の真空としても、宇宙論的考察からも望ましいものではありません。今後の主要な探求点としては、摂動論高次ループ補正、非摂動効果により、不安定な極値が宇宙項を十分強く抑制する準安定真空に落ち着くか否かが焦点となるでしょう。

We investigate the structure of the moduli space of 9D heterotic interpolating models with a complete set of Wilson line backgrounds and a radius parameter by computing the one-loop partition functions and the cosmological constants and by deriving the massless spectra, paying attention to the region a ≈ 0 where supersymmetry is asymptotically restoring. We find some special planes and points in the moduli space where the gauge symmetry is enhanced and/or massless fermions appear. The gauge symmetry is maximally enhanced at the minima of the one-loop effective potential where the cosmological constant is negative.

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