青年期の親子関係と感情の制御,表出能力 : 父親と母親に対する性別の違いの分析

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タイトル別名
  • セイネンキ ノ オヤコ カンケイ ト カンジョウ ノ セイギョ,ヒョウシュツ ノウリョク : チチオヤ ト ハハオヤ ニ タイスル セイベツ ノ チガイ ノ ブンセキ

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説明

社会の制度や在り方は,家族関係も変容させる。それは親子関係においても例外ではない。特に父親と母親の子育て,子どもとの接し方や関係は,少子化等の影響もあり従来とは異なる様相を呈しつつある。そこで本研究では,両親との関係が感情の制御と表出に及ぼす影響について分析した。青年期の後半に相当する19 歳から24 歳の108 名を対象に調査を実施した。ノンバーバルスキル尺度,母親及び父親への親密性尺度,親子問の信頼感に関する尺度を使用して,質問紙調査を実施した。得られたデータを男性と女性に区分した上で,父親や母親に対して評定した値を分析した。その結果,男性は感情を制御する能力と母親に対する信頼感に負の関連が検出された。これは母親に対する強い信頼が, 自発的な表現を開放し感情の制御を緩和させるためと考えられた。一方,女性は感情を制御する能力と父親に対する信頼感に正の関連が検出された。父親に対する信頼を高めることによって,精神的な自立が強くなり,自分の感情の制御が高まる可能性が推測された。このような性差を生起させた理由について論議した。

収録刊行物

  • 信州心理臨床紀要

    信州心理臨床紀要 19 13-31, 2020-06-01

    信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室

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