バンクロフト糸状虫症の伝搬に関わるトウゴウヤブカの役割に関する実験的研究 : 第1報 トウゴウヤブカの摂取する仔虫数及び仔虫の蚊体内に於ける移動

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タイトル別名
  • バンクロフト シジョウチュウショウ ノ デンパン ニ カカワル トウゴウヤブカ ノ ヤクワリ ニ カンスル ジッケンテキ ケンキュウ 1
  • Experimental Studies on the Role of Aedes togoi in the Transmission of Bancroftian Filariasis. : 1. Number of microfilariae taken up by the female and their movement in her body.

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抄録

1)トウゴウヤブカAedes togoiの♀成虫をWuchereria bancroftiの仔虫保有者から吸血させ,蚊の摂取する仔虫数を手掛りとして人末梢血流中の仔虫の分布様式を推定した.又,蚊の摂取した仔虫の糞中への排泄,蚊体内での移動状況を調べた.本実験は1962年4月から1963年11月迄の間に行なった.2)同時に同一仔虫保有者から吸血させた満腹蚊個体群の各々が摂取した仔虫数は,末梢血の一定量ずつを蚊をして吸引せしめた時の仔虫数と考えられるから,この一定量ずつの血液量中の仔虫数を手掛りとして人末梢血流中の仔虫の分布様式を推定することが出来る.そこで満腹蚊の摂取仔虫数を変量として,これに対応する蚊数を度数として得られる度数分布曲線の母分布凾数の型を推定してみると,患者血30cmm中の平均仔虫数が3.3隻程度に少ない時にはPoisson分布に従い,末梢血流中で仔虫は全く機会的に分布しているが,平均仔虫数が10.7或るいは230.5隻と多い場合にはPolya-Eggenbergerの伝播分布型に従い,末梢血流中の仔虫は大小の集団をなしているものと推測することが出来る.3)蚊によって摂取された仔虫は,一部は糞と共に排泄され,大部分は胃壁を貫通して腹腔内に脱出し(この時は既に幼虫である),更に腹腔内を移動して胸筋内に侵入する.今回の実験では仔虫数の非常に少ない患者から吸血させ,従って蚊の摂取仔虫数が極めて少なかったので正確を期し難いが,吸血後蚊を24℃で飼育した場合の,仔虫の排泄及び移動状況は大体に於いて次のように要約される.糞中に排泄される仔虫は必ずしも吸血直後が多いとは考えられない.今回の実験では,1隻の仔虫が吸血後8時間目に排泄されている.胃壁を貫通して腹腔内へ脱出するのは吸血後3時間目からみられ,24時間位の間に終るように思われる.腹腔内を移動中の幼虫は胃からの脱出の時間と関連して見られる.胸筋内への幼虫の侵入は吸血後6時間目頃からみられるが,6~12時間の間に活発となって略48時間位で終るようである.

Experiments were carried out (1) to specify the type of population distribution of bancroftian microfilariae in the peripheral blood stream of a carrier, through the number of microfilariae taken up by females of Aedes togoi fed simultaeneously on a carri

長崎大学風土病紀要 6(1), p.25-33, 1964

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