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タイトル別名
  • Oesophagostomiasis
  • チョウ ケッセツチュウショウ

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抄録

腸結節虫は,めん羊,山羊,牛,豚,サルの腸管内に遊離して寄生する線虫であり,国内外で広く見られる。外界に存在している感染子虫が飼料などとともに宿主へ経口摂取され,腸管内で脱鞘した後に腸粘膜に侵入して脱皮を行い,その後腸管内へ戻りさらに脱皮して成虫となる。腸結節虫症は腸粘膜に結節が形成されることに起因するが,近年,家畜では飼養形態の変化や駆虫対策の進展から大きな被害は報告されていない。しかし,適切な対策が行わなければ被害が生ずる可能性が高い寄生虫疾患の一つである。本稿では,過去に国内で報告された野外症例をもとに,それぞれの動物での病理所見をとりまとめた。めん羊,山羊,牛では,腸壁で著しい好酸球浸潤を伴う肉芽腫や膿瘍が形成されており,結節内の子虫及び腸管内の成虫は少数しか認められていない。豚では著しい好酸球浸潤を伴う肉芽腫,膿瘍,潰瘍が形成されており,結節内の子虫及び腸管内の成虫は少数でしか認められていない。ニホンザルでは肉芽腫や膿瘍が形成されるが,好酸球の浸潤は軽度であり,結節内の子虫及び腸管内の成虫はいずれも多数が認められている。腸結節虫症の病理所見は各動物で異なっており,結節の構造や虫体の寄生状況にそれぞれに特徴が見られた。

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