カキ‘四ツ溝’における酵素剥皮が皮剥き作業時間および果実品質に及ぼす影響

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  • カキ'ヨッツ コウ'ニ オケル コウソハクヒ ガ カワムキ サギョウ ジカン オヨビ カジツ ヒンシツ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

酵素剥皮の実用化に向け,静岡県特産のカキ‘四ツ溝を用いて,剥皮に適した熟度,酵素剥皮の作業性,酵素剥皮が果実品質に及ぼす影響を調査した。(1)‘四ツ溝’は未熟な果実では酵素剥皮が困難であったが,熟度が進むと剥皮が可能となった。剥皮が可能な熟度として,‘四ツ溝’では果皮色が活用でき,換算カラーチャート値が5以上で剥皮が可能であった。(2)酵素処理による剥皮は,包丁による剥皮と比較して,作業者が実際に果実を剥く時間は40~60%短縮が可能であった。(3)酵素処理によって剥皮した果実は,包丁によって剥皮した果実と比較して,果肉硬度,表面色,総アスコルビン酸含量に影響は見られなかった。可溶性固形物含量は低下傾向だが,可溶性タンニンによる影響が一因である可能性が示唆された。以上のことから,‘四ツ溝’における酵素剥皮は,剥皮が可能な熟度はある程度限定されるものの,包丁剥きと比較して短時間で剥皮ができ,果肉硬度や総アスコルビン酸含量の低下も見られなかったことから,本手法は‘四ツ溝’のように溝のある品種を包丁で多く皮剥きする加工場において簡易な剥皮方法として有望であると考えられた。

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